カテゴリ:022 ロス( 1 )

022




ロス



遺伝子を組み替えられた猫が公園を走ってたなんていう事件は
もうかなり昔のことで
今問題になっているのは
その猫をどうやったらカンパンの代わりにできるか
つまり非常食にできるか

ということだ。


シュールな世界だね。本当に。


哲学科で一緒だったタブチはあの頃「偽善は善だ」と言っていたが、
そろそろ考えを変えただろうか。



彼はその非常食を1つストックしている。
つまり生まれのオカシナ猫を
地下室で飼っているらしい。


あいつがいう善なんて、笑っちゃうね。



彼が話したことを反復しよう。

「この猫は、ある大学の研究所で動物実験の対象として使用されていました。
 生物が生きていくのに重要な『サーカディアンリズム』を司るSCNという細胞を
 破壊すると、睡眠覚醒のリズムがぐちゃぐちゃになることはよく知られています。
 またその細胞に強く発現するタンパクが正常につくられることが、
 リズムをコントロールするのに重要なのですが、
 その機能を担う部分の遺伝子をいじられてしまったのがこの猫です。
 
 つまり、この猫は起きるとか寝るとかがよくわからなくなってる、
 ということです。

 起きるとか寝るとかがよくわからなくなってるということは、
 生きるとか死ぬとかがよくわからなくなってるということです。
 
 つまり僕は、
 地球を救いたいのです。」





地球だなんて笑っちゃうね。


見たんだ。
タブチは、「SCN MUTANT 001cat」というタグのついた猫を
こっそり「タマ」と呼んでいた。



笑っちゃうね。

「どっちかというと地球より猫のほうが好きです。」

そう言えばいいのに。












[PR]
by Dasein100-1 | 2005-04-24 01:51 | 022 ロス