カテゴリ:004 暇、その1( 1 )

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暇、その1(床と骨の接点)



床に寝るのが好きだ。
骨が、冷たくて硬い床の感触にぶつかるのがたまらない。
その音と振動を感じながら、寝る。

敢えて言うと、
死を認識できるのは眠りがあるからだ。
現実をつなぎあわせても、ストーリーなど完結しない。
眠りに挟まれて浮かんでいるだけなのに、実体があるかのような錯覚。
騙された場所にいる。
どんなに安っぽいイリュージョンよりも、
嘘。

肋骨の隙間から零れ落ちる砂のようなものだ。
皮も筋肉も内臓も、腐り果て、砂に変わり、
骨と骨の隙間を滑り落ちて床に沈む。



くだらない。
食事が済んだら、また寝よう。



そのうちこの身体は、
少しずつ絶対的な存在の質量が減り
いつか全てが風化して
暇と同化して
消えてしまうはずだ。


そんな風にして、ただ生き続けた。
意味を探すことに疲れた。
それで、何もしなくなった。


そしてある日
床と骨の接点に、黒い等身大の穴が開いた。
温度を失った体は、その空洞の中に静かにゆっくりと飲み込まれていった。










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by Dasein100-1 | 2004-10-04 23:43 | 004 暇、その1